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M&A(Mergers and Acquisitions)

救済型M&A

救済型M&Aの可能性を解き放つ:苦境にある企業を立て直す戦略

1. 救済型M&A:苦境にある企業を再活性化させるための導入
2. 課題への対処:成功する救済型M&Aの戦略
3. ケーススタディ:救済型M&A成功事例の実例の検証

救済型のM&Aは、そのままで経営不振で破綻してしまう可能性のある企業に対して手を差し伸べることを意味しています。つまり増資などの資本参加をして、一緒に経営再建を目指すということです。こうしたM&Aには幾つかの特徴というものがあります。例えば、多くのケースで買収企業に対して新株を発行します。この理由としては新株発行で手に入れる資金を会社に投入して、経営の再建をより迅速にまた効率的に進めるということがあるのです。さらに救済型のM&Aというのは金融業とか卸・小売業などで業種でよく行われます。

救済型M&A:苦境にある企業を再活性化させるための導入

– 救済型M&A、または苦境M&AやターンアラウンドM&Aとしても知られるものは、財務的に苦境にある企業の買収を指し、その運営を再活性化し、収益性を回復することを目指しています。
– これらの取引は、企業が倒産、経営破綻、または大きな財務的課題に直面しているときに発生し、買収企業が自社のリソース、専門知識、戦略的ビジョンを活用して、苦境にあるビジネスを救済する機会があると見なされます。
– 救済型M&Aは双方にとって利益をもたらす場合があり、苦境にある企業に存続の手段を提供すると同時に、買収企業には割引価格で貴重な資産を取得し、長期的には相当なリターンを得る機会を提供します。

成功する救済型M&Aの戦略

– デューディリジェンス:
– 救済型M&Aでは、対象企業の財務健全性、運営上の問題、および潜在的なリスクを評価するための徹底したデューディリジェンスが不可欠です。
– 買収企業は、対象企業の苦境の原因を特定し、買収後の課題に対処する戦略を開発するために包括的な分析を実施する必要があります。

– 運営の再構築:
– 運営の再構築施策を実施することは、しばしば業務の合理化、効率の向上、コストの削減が必要です。
– これには組織の再編、サプライチェーンの最適化、契約の再交渉、および新しい経営手法の導入が含まれ、対象企業の業績を立て直すことが必要です。

– ステークホルダーのマネジメント:
– 救済型M&Aにおいては、債権者、従業員、サプライヤー、その他の主要なステークホルダーとの複雑な関係を航行するために、効果的なステークホルダーマネジメントが重要です。
– コミュニケーションと透明性は信頼と協力を築き、ターンアラウンドの取り組みに対する支持を得るために不可欠です。

ケーススタディ:救済型M&A成功事例の実例の検証

– フィアット-クライスラー合併:
– フィアットによる2009年のクライスラーの買収は、フィアットがクライスラーを倒産から救済するために介入した注目すべき救済型M&Aの例です。
– 戦略的な再編成と統合の取り組みにより、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)はクライスラーの業績を立て直し、グローバル自動車業界内で利益を上げることに成功しました。

– アポロ・グローバル・マネジメントによるホステス・ブランズの買収:
– 2012年に破産を申請したツィンキーなどの象徴的なお菓子を製造するホステス・ブランズは、アポロ・グローバル・マネジメントとメトロポラス&カンパニーによる救済型M&A取引によって買収されました。
– 新しいオーナーは、運営の改善と刷新された製品戦略を実施し、ホステス・ブランズを成功裏に復活させました。

– ヤフーのベリゾンへの買収:
– 2017年のヤフーのベリゾンへの買収も、救済型M&Aの取引として考えられます。ヤフーは売上高と市場シェアの減少に苦しんでいました。
– ヤフーのデジタルメディア資産を既存のポートフォリオに統合することで、ベリゾンはヤフーの事業を再活性化し、デジタル広告市場での競争力を高めることを目指しました。

救済型M&Aは、苦境にある企業に新たな息吹を与える機会を提供し、同時に長期的には相当なリターンをもたらす可能性があります。買収企業が徹底したデューディリジェンス、運営の再構築、および効果的なステークホルダーマネジメント戦略を実施することで、救済型M&Aの課題を乗り越え、成功裏にターンアラウンドの取り組みを推進することができます。フィアット-クライスラーの合併、アポロによるホステス・ブランズの買収、ヤフーのベリゾンへの買収などの実例は、救済型M&Aが苦境にある企業を再活性化し、ステークホルダーに価値を提供する力を示しています。

日本電産のM&Aが救済型の典型例

しかし最近では不況の影響を受けた流通とか銀行などでも行われることがあるのです。日本でこの救済型M&Aの例を挙げるとすれば、日本電産による企業買収でしょう。この企業は今までに40以上の企業を買収してきています。そしてその買収した企業のいずれも経営再建に成功しているというのが大きな特徴です。2003年には「三協精機製作所」の買収を行いました。この企業というのは、以前にベリアリングメーカーのミネゾアから敵対的買収を仕掛けれました。しかしその時には新日鐵がホワイトナイトとなったのです。結局新日鐵は三協精機製作所の経営再建ができず、日本電産が買い取る形になりました。それからというもの、業績は大幅に回復し企業ブランドも従業員も救われた形になったのです。