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M&A(Mergers and Acquisitions)
M&Aにおける企業価値評価を考える~その2
M&Aにおける企業価値が非常に重要なのは「M&Aにおける企業価値評価を考える」で少し取り上げました。では実際にその企業価値というものを具体的にどのように算定するのでしょうか。
ディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF法)
実はこれには色んな手段があり、対象企業の規模とか業種などによっても適切な方法というのは異なります。少しここで一緒に考えてみましょう。まず1つは「DCF法」という方式です。これは英語のDiscounted Cash Flowの略となっています。企業が一定期間の利益計画に基づいて、将来獲得することになる資金を適切な割引率によって、現在の価値に還元することで算定します。この方法のメリットは、投資の採算性を検討する際に非常に正確な数値を知ることができるということです。しかし将来のビジネスの見通しというものがどこまで緻密に分析できるかが大きなカギとなり、非常に多大な時間を要することもあるのです。
収益還元方式や市場価値方式
2つ目の方法は「収益還元方式」というものです。これは事業計画書に基づく将来の税引後利益というものを基本とします。このような方法によって1株当たりの予想利益を資本還元率によって還元することになり、株式価値の正しい算定が行えます。
3つ目の方法は「市場価値方式」というものです。これはその名の通り、株式市場における株価によって算定されます。株価という既に産出された数値を基本として評価を行いますので、他の方法よりもより簡単に評価できるという特徴があります。しかし必ずしも企業価値を正確に表していることばかりではないこともありますので少し注意が必要ですね。
中小企業の株価評価は類似会社批准方式
4番目の方法は「類似会社批准方式」です。評価対象企業と比較的類似する会社を複数選択して、事業内容・市場価値・収益状況などから会社の株価を比較します。これは評価対象企業が未上場会社である時に用いられますので、日本での中小企業の株価評価ではもっともポピュラーな手法と言えるでしょう。但し、上場会社とか類似性がないほどニッチ市場の小規模な未上場会社の場合では、少し評価が難しくなってしまうこともあります。
計算式や基準は的確な値段交渉の基礎知識
このようなことは、企業買収を考えている皆さんにとってどうして大事なことと言えるでしょうか。もちろん自分たちで全ての企業評価をして、M&Aを実行するということはないでしょう。しかしこうした作業をM&Aの仲介会社が行ってくれるにしろ、皆さんがその計算式や基準というものを知っていないと的確な値段交渉というものはできなくなってしまいます。ぜひこのような面で皆さんも、M&Aをお考えの時は参考にしてみてください。