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M&A(Mergers and Acquisitions)

簡易組織再編

簡易組織再編のマスター:M&A取引の成功のための戦略

M&Aにおける簡易組織再編のポテンシャルを解き放つ

– 定義:M&Aにおける簡易組織再編とは、税法の規定に基づいて企業がビジネスエンティティを税務効率的な方法で再編成する取引構造を指します。この戦略により、企業は税負担を最小限に抑えつつ、合併、買収、分割などの企業再編活動を促進し、さまざまな目標を達成できます。
– 目的:簡易組織再編の主な目的は、取引に関する税金の延期処理を実現し、関与するエンティティの税的属性を保護し、規制要件を遵守し、M&A取引の全体的な財務成果を最適化することです。
– 重要性:簡易組織再編は、M&A取引において企業が取引を税務効率的な方法で構築する貴重な手段を提供することで、買い手と売り手の両方にとって取引の魅力と実現可能性を高める重要な役割を果たしています。

会社合併とか分割、株式交換などの手続きの中で、一定の条件を満たしている時には本来必要である株主総会決議が必要ではない、ということが会社法に定められています。これを利用した組織編制のことを「簡易組織再編」と呼んでいるのです。例えば会社が吸収合併をしたとします。消滅する会社の規模が、存続する会社の規模に比べて小さい時や株主への影響がそこまで無い場合には、この簡易組織再編が適用となります。規模の大きさとしては、消滅する会社の株主に提供する対価が、存続する会社の純資産の2割以下であることが一つの条件になっています。これに合致すると株主総会における承認が不要ということになるのです。

簡易組織再編の種類

簡易組織再編には、それぞれ異なる目的を持ち、特定の規制基準を満たすさまざまな取引構造が含まれます。一般的なタイプには次のものがあります。
1. Aタイプの再編:これは、取得する企業によって対象企業の株式または資産が取得され、内国歳入法のセクション368(a)(1)(A)に基づいて税延期交換が行われる取引です。
2. Bタイプの再編:Bタイプの再編では、取得する企業と対象企業との間で合併または統合が行われ、対象株主は自身の株式と引き換えに取得企業の株式を受け取り、内国歳入法のセクション368(a)(1)(B)に基づいて非課税処理が行われます。
3. Cタイプの再編:Cタイプの再編は、通常、新しい持株会社が形成され、取得する企業と対象企業の両方の株式または資産が取得され、内国歳入法のセクション368(a)(1)(C)に基づいて税延期処理が行われます。

簡易組織再編の実施戦略

簡易組織再編を成功させるには、慎重な計画と実行が必要です。以下は考慮すべき主な戦略です。
1. 網羅的なデューデリジェンスの実施:簡易組織再編を開始する前に、取引に関連する税金の影響、規制の遵守、財務シナジー、および操作上の考慮事項を評価するために徹底的なデューデリジェンスを実施することが重要です。
2. 経験豊富な税務顧問の参加:簡易組織再編を取り巻く税法や規制の複雑さを考慮すると、M&A取引に精通した税務顧問や法的専門

家の指導を求めることが重要です。これにより、規制要件の遵守と税金の利点の最大化が確保されます。
3. 取引の適切な構造化:企業はさまざまな取引構造を慎重に評価し、戦略的目標、税の優先事項、規制要件に最も適したものを選択する必要があります。適切な構造化は、税法の該当する規定に基づいて税延期処理の適格性を確保する上で重要です。

簡易組織再編の注意事項

しかし注意することもあります。もし簡易組織再編の条件を満たしている場合でも、議決権の6分の1以上を持っている大株主が反対すると、これを実行することができないのです。なぜ6分の1という数字なのでしょうか。これは株主総会の特別決議の定足数が、総株主の過半数で、かつ出席している株主の3分の2以上になってくるからです。つまり総株主の議決権の6分の1以上の反対株主がいれば、総会で否決される可能性も出てくるのです。ぜひ経営陣を含め、個人株主などもこうしたことをしっかりと覚えておきたいものですね。

簡易組織再編は、M&A取引において企業が税務効率的な方法で取引を構築するための強力な手段を提供し、税負担を最小限に抑え、財務成果を最適化します。さまざまなタイプの簡易組織再編を理解し、効果的な戦略を実行することで、企業はM&A取引において大きな価値を引き出し、戦略的目標を達成することができます。